- せっかくのマダイが、家で食べると水っぽい
- 締め方って、どこにナイフを入れればいい?
- 血抜きの道具、何を買えばいいの?
- 釣った当日に食べるのが一番おいしいんじゃないの?
マダイは、釣ってからが本番です。船の上で正しく処理して、家で血を抜いて、そして「寝かせる」。この一連をやるかやらないかで、同じ魚がまったく別の味になります。伊勢湾で15年、私が試行錯誤の末に行き着いた手順を全部出します。
釣りたてより、5〜7日寝かせたマダイのほうが美味しい——信じられないかもしれませんが、やれば分かります。
1.【船上】時合中は処理しない → 移動時間でまとめて処理
2.【締め・血抜き】帰宅後にプロ級血抜き(ここが最重要)
3.【保存】海水氷に浸けて持ち帰り(魚体に氷が直接当たってOK・芯まで冷やすのが最重要)
4.【熟成】5〜7日の熟成で旨味を引き出す
✅ 結論:マダイは「締め+血抜き+5〜7日熟成」で釣りたてより旨くなる。
手順は本文で1つずつ解説。
なぜマダイも締める必要があるのか?

「高い魚だから美味しいに決まっている」と思って、クーラーボックスにそのまま入れる方が多いです。でも、それが一番もったいない持ち帰り方です。
釣り上げた魚は生きている間、旨味成分(ATP)が保たれています。しかし正しく処理しないと、ATPが急速に分解されて旨味が消え、血が身に回って生臭くなります。
| 処理 | 締めなかった場合 | 正しく締めた場合 |
|---|---|---|
| 鮮度 | ATPが急速に分解される | ATPが保たれ旨味が長持ち |
| 血抜き | 血が身に回り生臭くなる | 身が白く締まり臭みがない |
| 刺身の質 | 水っぽく生臭い | もちもちした食感・旨味が凝縮 |
| 保存期間 | 当日〜翌日が限界 | 正しい処理で5〜7日以上 |
マダイの締め方に必要な道具一覧

青物と全く同じ道具でOKです。マダイは最大でも70cm前後なので、大型魚向けの太いホースより細めのノズルの方が使いやすい場面もあります。
| 道具 | 用途 | 商品例 |
|---|---|---|
| 〆ナイフ または ハサミ | 脳締め・動脈切断 | ダイワ 折りたたみナイフ |
| エアダスターノズル | 帰宅後の本格血抜きで使用 | SK11エアダスター |
| 交換用ノズル | 魚の大きさに合わせてノズルを変える | イーバリューノズル |
| ホース(内径12mm)×2本 | エアダスターのノズルに接続 | トヨロンホース |
| 強度の強い袋 | クーラーボックスに匂いつけたくない時 | トラスコポリ袋 |
| キッチンペーパー | 水抜き・熟成時の包み材 | スコッティペーパー |
| 真空パック機 | 熟成・長期保存用 | Kocokara真空パック機 |
| クーラーボックス+氷 | 保冷・持ち帰り | 別記事参照 (クーラーボックス10選記事) |
▼ダイワのナイフでフッ素加工しているものは錆びにくいのでおすすめです。
▼本来エアダスター用ですが水道にホースでつなげると血抜き用としても使えます。
▼魚の大きさによって先端のノズルを変えて使用。尻尾の動脈から血抜きする時に使用します。
▼SK-11エアダスターLサイズに合うホースです。内径12mmのホースを選んでください。
▼ホースとダスターが抜けないようにするためのバンドです。これがないと圧力かかった時に抜けてしまいます。
▼いいお値段しますが、魚のヒレでも袋が破けにくいです。クーラーボックスの魚の匂いも付きづらいのでおすすめです!
▼魚のヒレにあたっても破れにくく、値段はするが一度使ったら普通のキッチンペーパーには戻れないです!
【船上での処理】時合中は処理しない!移動時間で一気に処理する

船上での処理で最も大事なのは「タイミング」です。マダイが釣れるたびに処理していては時合を逃します。タイラバはのっこみシーズンには連発することもあるので、特にこのタイミング管理が重要です。
船上での下処理ステップ
時合が続いている間は、釣り上げた魚を海水を張ったバケツに入れておきます。 この段階では処理しません。魚は生きているためATPも保たれています。まず釣ることに集中しましょう。
時合が終わるか、船を流し直すための移動時間になったタイミングで一気に処理します。
①脳天締め:目の後ろ・側線の上の位置(脳の場所)にナイフまたはピックを刺して即殺します。
②動脈切断:エラからナイフを入れ、背骨の下を通る動脈を切断します。
この2つをセットでやることで、ストレスなく旨味を保ったまま素早く処理できます。
脳締め・動脈切断が終わったら、エラの部分を持って魚の頭を海水に浸けます。 そのまま左右に頭を振ると、切断した動脈から血が海水に抜けていきます。 この作業を繰り返し、血のカスが出なくなるまで続けます。
血のカスが出なくなったことを確認したら、海水と氷で作った「海水氷」に魚を浸けて、芯まで一気に冷やします。魚体に氷が直接当たってもOK。とにかく早く芯まで冷やすことが、鮮度維持で一番効きます。
【帰宅後の下処理】ここが肝心!プロ級血抜きを実現する
帰宅後に行う血抜きこそ、このメソッドの核心です。内臓はこの段階ではまだ取りません。血抜きが終わるまでそのままにします。
ホースをエラの部分から差し込み、背骨の下を通る動脈(赤いライン)にホースを当てます。 そのまま水道水をホースに通して動脈に注入します。
【確認ポイント】お腹がパンパンに膨らんできたら水が血管内に入っている証拠です。
尻尾を切り、背骨の下の動脈の断面を露出させます。 エアダスターのノズルにホースを接続し、尻尾側の動脈断面からホースを当てて水を注入します。
【確認ポイント①】エラの部分から血が出てきます。最初は濃い赤色で、だんだん薄くなっていきます。
【確認ポイント②】尻尾のあたりがパンパンに膨らみます。これが毛細血管まで水が行き渡っているサインです。
全身の毛細血管まで水が入ったら、魚を頭を下にした逆立ち状態にします。 下にキッチンペーパーを敷いて30分置き、注入した水と残った血を抜きます。 この水抜きをしっかりやることが臭みゼロの身質につながります。
30分の水抜きが終わったら、内臓とエラを取り出します。 内臓にはATPを分解する酵素が多く含まれているため、水抜き完了後は速やかに取り除きます。 血合いも丁寧に洗い流してきれいにしておきましょう。
【熟成・保存】釣りたてより美味しくなる5〜7日熟成メソッド
ここからが「釣って、食べるまでがタイラバ」の核心です。正しく熟成させると、釣りたての魚より遥かに旨味が凝縮されます。
内臓を取り出した後、血合いをきれいにしたらキッチンペーパーで全体の水気をよく拭き取ります。 水分が残っていると腐敗が早まるため、丁寧に拭き取ることが重要です。
内臓があった空洞部分にキッチンペーパーをたっぷり詰めます。 頭の方にもキッチンペーパーを詰め、余分な水分を吸収させます。 さらに魚全体をキッチンペーパーでしっかりくるみます。
キッチンペーパーで包んだ状態のまま、真空パック機で密封します。 酸素に触れないことで酸化を防ぎ鮮度が格段に長持ちします。 この工程が熟成の質を大きく左右します。
冷蔵庫(0〜3℃が理想)で保管します。 5〜7日後には身がもちもちになり旨味が凝縮されます。 7日後でも臭みもなく刺身でも調理でも食べられます!
| 熟成日数 | 身の状態 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| 当日〜1日 | 弾力があり歯ごたえ強い | 刺身・焼き魚 |
| 2〜3日 | 旨味が出始める | 刺身・しゃぶしゃぶ・鯛めし |
| 5〜7日 | もちもちで旨味が凝縮 | 刺身・昆布締め・カルパッチョ ◎ |
| 冷凍(真空パック) | 長期保存・解凍後も刺身可 | 冷水解凍で刺身◯鯛めし◎ |
▼真空パック機は色々ありますが汁物対応のものがおすすめです。血抜き後の水などが吸引のときに出るときあるので汁物対応が◎
▼真空パックのロールですが結構つかうので予備はあったほうが良いです。大型・中型魚は20cm幅ではなく28cm幅の方が真空しやすいです!
釣ったマダイならではの美味しい食べ方

マダイは「魚の王様」と呼ばれるだけあって、どんな調理法でも美味しく食べられます。スーパーで売っている養殖マダイとは、身の締まり・旨味・香りが全く異なります。
① 刺身(3〜7日熟成がおすすめ)
熟成3日以降は旨味が増してもちもちの食感になります。皮霜造り(皮を湯引き)にすると皮目の旨味も一緒に味わえます。釣った当日は身が硬すぎるので、最低でも翌日以降がおすすめです。
② 鯛めし(アラをフル活用)
マダイのアラは旨味の宝庫です。頭やカマをさっと焼いてからご飯と一緒に炊くと、出汁が染み渡った絶品鯛めしが完成します。身だけでなくアラまで余すことなく楽しめるのが、自分で釣ったマダイの最大の醍醐味です。
③ 昆布締め(5〜7日熟成後)
5日以上熟成させた刺身を昆布で挟んで半日置くと、旨味がさらに凝縮されます。スーパーでは絶対に作れない贅沢な一品です。塩を少し振ってから昆布で挟むと風味が引き立ちます。
④ アラ汁・潮汁(全部使いきる)
鯛めしで使った後のアラでも十分に出汁が出ます。潮汁は塩と酒だけのシンプルな調理ですが、マダイの上品な旨味がそのまま感じられます。釣り人だけが味わえる贅沢な一杯です。
関連記事:【伊勢湾】タイラバの釣り方を完全解説!初心者でも落として巻くだけでマダイが釣れる
持ち帰りのポイント|クーラーボックスの正しい使い方

正しく締めても持ち帰り方を間違えると鮮度が落ちます。以下のポイントを押さえてください。
| ポイント | 正しい方法 | NGな方法 |
|---|---|---|
| 魚の入れ方 | 海水氷にいれて魚を冷やす | 真水に氷をいれて魚を冷やす |
| 氷の量 | 魚の重さの30〜50%の氷 | 氷が少なすぎる |
| 水の管理 | 溶けた水は定期的に排水 | 魚を水に浸けたまま放置 |
| 温度管理 | 0〜3℃を維持 | 炎天下に放置 |
よくある質問
- 魚を袋に入れて、その周りを氷で冷やす方法ではだめですか?
冷えが足りません。実は私も以前はその方法でした。
クーラーボックスに魚の匂いが移るのが嫌で、強度の強い袋に魚を入れて、袋の周りを氷で冷やしていたんです。でも比べてみると、明らかに冷えが悪い。
芯まで一気に冷やせるかどうかが鮮度のすべてなので、味を取るなら海水氷に直接浸けるがベストアンサーになります。
▶ 青物(ブリ・サワラ)の場合はこちら → 青物の血抜き・締め方・熟成ガイド|釣った後の全工程
結論:マダイは「船上の急速冷却+帰宅後の血抜き+5〜7日熟成」で釣りたてより旨くなる
ここまで解説した手順を整理します。
時合中は釣り上げた魚をバケツへ(処理は後回しでOK)
移動・流し直しのタイミングで脳締め+エラから動脈切断
エラを持って頭を海水に浸け、頭を振って血抜き
血のカスが出なくなったら海水氷に入れてクーラーへ
エラからホースで動脈に水を注入(お腹が膨らむまで)
尻尾を切ってエアダスター+ホースで逆方向から注入
頭を下にして30分・水抜き
内臓・エラを取り出して血合いをきれいに
水気を拭き取り→キッチンペーパーを詰める→全体をくるむ
真空パックで密封→冷蔵庫で5〜7日
冷凍する場合は真空パックのまま→冷水解凍で3ヶ月後も美味しく
「釣って、食べるまでがタイラバ。」ぜひこのメソッドを試して、スーパーでは絶対に買えない極上のマダイを楽しんでください!
