・クーラーに入れたら生臭くなった。何が悪かったの?
・脳天締めって、結局どこを刺せばいいの?
・血抜きって、高い専用器具を買わないとダメ?
・80cmのブリ、クーラーに入らない…どうすればいい?
釣り上げた瞬間の喜びは、持ち帰り方を間違えるだけで台無しになります。魚の味は、実は釣り上げた”あと”の処理で決まる。私が15年かけて試行錯誤の末に行き着いた、船上から帰宅後、そして熟成までの手順を全部出します。
エアダスターとホースを使う最強の血抜きなら、高価な専用器具を買わなくても同じ効果が出せます。魚が苦手な人が「生臭くない」と完食した、実証済みの方法です。
- 締めずにクーラー直行はNG=血が回って生臭くなり旨味(ATP)も消える
- 道具はナイフ+エアダスター+ホースでOK。高価な専用器具なしで最強の血抜きができる
- 船上は時合中に処理しない=移動時間で一気に脳締め・血抜きし、海水氷で芯まで急速冷却
- 帰宅後が肝心=頭を下にして20〜30分立てかけ、水と残った血を抜き切った時点で完了
- ✅ 結論:ブリは「船上の急速冷却+帰宅後の最強の血抜き+7日熟成」で釣りたてより旨くなる
なぜ締めるのか?やらなかった場合との違い

多くの初心者が「釣れたからとりあえずクーラーに入れる」対応をしますが、これでは魚の美味しさが大きく損なわれます。
| 処理 | 締めなかった場合 | 正しく締めた場合 |
|---|---|---|
| 鮮度 | ATPが急速に分解される | ATPが保たれ旨味が長持ち |
| 血抜き | 血が身に回り生臭くなる | 身が白く締まり臭みがない |
| 刺身の質 | 水っぽく生臭い | もちもちした食感・旨味が凝縮 |
| 保存期間 | 当日〜翌日が限界 | 正しい処理で5〜7日以上 |
ブリを締める~最強の血抜きに必要な道具一覧

| 道具 | 用途 | 商品例 |
|---|---|---|
| 〆ナイフ または ハサミ | 脳締め・動脈切断 | ダイワ 折りたたみナイフ |
| エアダスターノズル | 帰宅後の本格血抜きで使用 | SK11エアダスター |
| 交換用ノズル | 魚の大きさに合わせてノズルを変える | イーバリューノズル |
| ホース(内径12mm)×2本 | エアダスターのノズルに接続 | トヨロンホース |
| 強度の強い袋 | クーラー内で魚を氷から守る | トラスコポリ袋 |
| キッチンペーパー | 水抜き・熟成時の包み材 | スコッティペーパー |
| 真空パック機 | 熟成・長期保存用 | Kocokara真空パック機 |
| クーラーボックス+氷 | 保冷・持ち帰り | 別記事参照 (クーラーボックス10選記事) |
▼ダイワのナイフでフッ素加工しているものは錆びにくいのでおすすめです。
▼本来エアダスター用ですが水道にホースでつなげると血抜き用としても使えます。
▼魚の大きさによって先端のノズルを変えて使用。尻尾の動脈から血抜きする時に使用します。
▼SK-11エアダスターLサイズに合うホースです。内径12mmのホースを選んでください。
▼ホースとダスターが抜けないようにするためのバンドです。これがないと圧力かかった時に抜けてしまいます。
▼いいお値段しますが、魚のヒレでも袋が破けにくいです。クーラーボックスの魚の匂いも付きづらいのでおすすめです!
▼魚のヒレにあたっても破れにくく、値段はするが一度使ったら普通のキッチンペーパーには戻れないです!
【船上での処理】時合中は処理しない!移動時間で一気に処理する
船上での処理で最も大事なのは「タイミング」です。魚が釣れるたびに処理していては時合を逃します。私の手順はこうです。
船上での下処理ステップ
時合が続いている間は、釣り上げた魚を海水を張ったバケツに入れておきます。 この段階では処理しません。魚は生きているためATPも保たれています。まず釣ることに集中しましょう。
時合が終わるか、船を流し直すための移動時間になったタイミングで一気に処理します。
①脳天締め:目の後ろ・側線の上の位置(脳の場所)にナイフまたはピックを刺して即殺します。
②動脈切断:エラからナイフを入れ、背骨の下を通る動脈を切断します。
この2つをセットでやることで、ストレスなく旨味を保ったまま素早く処理できます。
脳締め・動脈切断が終わったら、エラの部分を持って魚の頭を海水に浸けます。 そのまま左右に頭を振ると、切断した動脈から血が海水に抜けていきます。 ブリは、海水を入れたバケツで頭を下に向けて2〜3分振り、血のカスが出なくなれば船上の血抜きは完了です。
船上の血抜きが終わったブリは、内臓を付けたまま海水氷に浸け、芯まで冷やした状態で持ち帰ります。魚体に氷が直接当たってもOK。とにかく早く芯まで冷やすことが、鮮度維持で一番効きます。
【帰宅後の下処理】ここが肝心!最強の血抜きを実現する!

帰宅後に行う血抜きこそ、このメソッドの核心です。内臓はこの段階ではまだ取りません。血抜きが終わるまでそのまま処理します。
帰宅後の下処理ステップ
ホースをエラの部分から差し込み、背骨の下を通る動脈(赤いライン)にホースを当てます。 そのまま水道水をホースに通して動脈に注入します。
【確認ポイント】お腹がパンパンに膨らんできたら水が血管内に入っている証拠です。
尻尾を切り、背骨の下の動脈の断面を露出させます。 エアダスターのノズルにホースを接続し、尻尾側の動脈断面からホースを当てて水を注入します。
【確認ポイント①】エラの部分から血が出てきます。最初は濃い赤色で、だんだん薄くなっていきます。
【確認ポイント②】尻尾のあたりがパンパンに膨らみます。これが毛細血管まで水が行き渡っているサインです。
全身の毛細血管まで水が入ったら、魚を頭を下にした逆立ち状態にします。 下にキッチンペーパーを敷いて30分置き、注入した水と残った血を抜きます。 最強の血抜きは、頭を下にして20〜30分立てかけ、注入した水と残った血を抜き切った時点で完了します。内臓とエラを取り出すのは、その後です。
30分の水抜きが終わったら、内臓とエラを取り出します。 内臓にはATPを分解する酵素が多く含まれているため、水抜き完了後は速やかに取り除きます。 血合いも丁寧に洗い流してきれいにしておきましょう。
【熟成・保存】釣りたてより美味しくなる5〜7日熟成メソッド
ここからが「釣って食べるまでがジギング」の核心です。正しく熟成させると、釣りたての魚より遥かに旨味が凝縮されます。
内臓を取り出した後、血合いをきれいにしたらキッチンペーパーで全体の水気をよく拭き取ります。 水分が残っていると腐敗が早まるため、丁寧に拭き取ることが重要です。
内臓があった空洞部分にキッチンペーパーをたっぷり詰めます。 頭の方にもキッチンペーパーを詰め、余分な水分を吸収させます。 さらに魚全体をキッチンペーパーでしっかりくるみます。
キッチンペーパーで包んだ状態のまま、真空パック機で密封します。 酸素に触れないことで酸化を防ぎ鮮度が格段に長持ちします。 この工程が熟成の質を大きく左右します。
背骨を付けたままキッチンペーパーで包んで真空パックし、冷蔵庫で寝かせると、ブリは7日目が最も旨味が乗ります。途中でペーパーは替えません。
| 熟成日数 | 身の状態 | おすすめの食べ方 |
|---|---|---|
| 当日〜1日 | 弾力があり歯ごたえ強い | 刺身・焼き魚 |
| 2〜3日 | 旨味が出始める | 刺身・しゃぶしゃぶ |
| 5〜7日 | もちもちで旨味が凝縮 | 刺身・カルパッチョ ◎ |
| 冷凍(真空パック) | 長期保存・解凍後も刺身可 | 冷水解凍で刺身◯調理◎ |
▼真空パック機は色々ありますが汁物対応のものがおすすめです。血抜き後の水などが吸引のときに出るときあるので汁物対応が◎
▼真空パックのロールですが結構つかうので予備はあったほうが良いです。ブリなど大型魚は20cm幅ではなく28cm幅の方が真空しやすいです!
食べ切れない分は真空パックのまま冷凍し、1ヶ月後に流水で解凍すれば、三枚おろしから刺身で食べられます。
【食べ尽くす】ブリ1本を余さず食べる|刺身・カマ焼き・アラ汁
ここまで丁寧に処理したブリは、1本で何食にもなります。捨てる部分はほとんどありません。
身:熟成させたら、まず刺身で
三枚おろしにした身は、熟成させて刺身で食べるのが一番おいしいです。最強の血抜きが効いていれば、血合いの臭みはほぼ出ません。
ただしブリ1本全部刺身だと当然飽きてきます。そこからはぶり大根など、味付けして食べていくのがおすすめです。ぶり大根も基本は身の部分で作ります。
カマ:肉を多めに付けて切ると、それだけで一食になる
カマ(胸びれが付いている部分)を切り落とすときは、肉を多めに付けておいてください。
理由は単純で、多めに付けておけばカマだけで一食分になるからです。ブリのカマ焼き(塩焼き)は本当においしいので、私は意識して多めに取っています。
頭と背骨:アラ汁にする(他の魚でも同じ)
頭と背骨は捨てずに「アラ汁」にします。手順は2つだけです。
- 頭は必ず半分に割る:火が通りやすくなり、中の汚れも洗い流せます。割らないと中が洗えません
- 背骨の「節」に包丁で切り込みを入れる:軟骨に傷が入り、煮ると出汁がしっかり出ます。背骨は節に刃を当てると簡単に切れます
この「節に切り込み」は、ブリだけでなくどの魚でも同じです。マダイのおすましなど、その魚のアラで出汁を取るときは必ずやっています。
小型(ワラサ・50cm級)なら骨まで食べられる
90cm級のブリではなくワラサや50cmくらいの青物なら、背骨も一緒に圧力鍋に入れてぶり大根にして骨まで食べられます。
⚠️ ただし圧力鍋でも骨の食感(違和感)は残るので、ここは好みによります。骨まで食べたい方には試す価値があります。
捨てるのは、ヒレ・尻尾・エラ・内臓だけ
私が捨てているのは、ヒレ・尻尾・エラ・内臓だけです。骨も頭も全部ひっくるめて「アラ」と呼び、アラ汁で使い切ります。
ここまでやって初めて「釣って、食べるまで」が完結します。
持ち帰りのポイント|クーラーボックスの正しい使い方

正しく締めても持ち帰り方を間違えると鮮度が落ちます。以下のポイントを押さえてください。
| ポイント | 正しい方法 | NGな方法 |
|---|---|---|
| 魚の入れ方 | 海水氷に魚を入れて冷やす | 真水に氷を入れて魚を冷やす |
| 氷の量 | 魚の重さの30〜50%の氷 | 氷が少なすぎる |
| 水の管理 | 溶けた水は定期的に排水 | 魚を水に浸けたまま放置 |
| 温度管理 | 0〜3℃を維持 | 炎天下に放置 |
よくある質問
- ブリの血抜きのやり方は?
エラ膜の奥(動脈)と尾の付け根を切り、海水の中で振って血を抜きます。船上は時合を優先し、移動時間でまとめて処理するのが効率的です。
- 締めないとどうなりますか?
血と体温で身が傷み、生臭さや「身焼け」の原因に。締めて血を抜くだけで、刺身の透明感と日持ちが別物になります。
- 神経締めは必要ですか?
死後硬直を遅らせて鮮度が長持ちします。長距離移動や熟成前提なら効果大。必須ではありませんが、やる価値は十分あります。
- ブリの熟成は何日が目安?
5〜7日が目安です(サイズ・状態による)。真空パック+チルドで管理。初めてなら2〜3日から試すと失敗しません。
- 血抜きに必要な道具は?
ナイフ(または締めピック)、動脈にあてるエアダスター/ホース、真空パック機があると完璧。具体的な道具は本文のリンクを参照してください。
- ブリが大きくてクーラーに入りません…
80cm級は40L以上の大きめかトランク型が安心。曲げて入れると鮮度・見た目が落ちます。サイズ別はクーラー記事へ。
なお、この記事は青物(ブリ・サワラ・ワラサ)向けの手順です。マダイは締め方・アラの使い方が青物と違うため、専用の記事にまとめています。
▶ マダイの締め方・血抜き・熟成ガイド|真鯛を美味しく持ち帰る手順
まとめ|船上の処理から熟成まで一気通貫で完結させよう
ここまで解説した手順を整理します。
時合中は釣り上げた魚をバケツへ(処理は後回しでOK)
移動・流し直しのタイミングで脳締め+エラから動脈切断
エラを持って頭を海水に浸け、頭を振って血抜き
血のカスが出なくなったら海水氷に入れてクーラーへ
エラからホースで動脈に水を注入(お腹が膨らむまで)
尻尾を切ってエアダスター+ホースで逆方向から注入
頭を下にして30分・水抜き
内臓・エラを取り出して血合いをきれいに
水気を拭き取り→キッチンペーパーを詰める→全体をくるむ
真空パックで密封→冷蔵庫で5〜7日
冷凍する場合は真空パックのまま→冷水解凍で3ヶ月後も美味しく
「釣って、食べるまでがジギング」です。ぜひこのメソッドを試して、スーパーでは絶対に買えない極上の一皿を楽しんでください!
