「タイラバで念願のマダイを釣ったのに、持ち帰ったら身が水っぽかった…」「せっかくの真鯛なのに生臭くて刺身が美味しくなかった…」

タイラバで釣れる高級魚・マダイ。でも釣り上げた後の処理を間違えると、その美味しさは半減してしまいます。

実は、マダイの締め方・血抜きの工程は青物(ブリ・サワラ)と全く同じです。工程はシンプルで初心者でも迷わずできます。

この記事では伊勢湾で15年の実釣経験から確立した、船上〜帰宅後〜熟成までの一連の手順を完全公開します。特にエアダスター+ホースを使ったプロ級血抜きは市販の高価な器具不要で同等の効果が得られるオリジナルメソッドです。

この記事を読めばわかること
  • 船上での正しい締め方・血抜きの手順(時合中の扱い方も解説)
  • 帰宅後に行うプロ級血抜き術(ホース+エアダスターノズル)
  • 5〜7日熟成で釣りたてより美味しくなる熟成・保存メソッド
  • マダイならではの美味しい食べ方(鯛めし・昆布締め・アラ汁)

なぜマダイも締める必要があるのか?

タイラバで釣ったマダイの画像

「高い魚だから美味しいに決まっている」と思って、クーラーボックスにそのまま入れる方が多いです。でも、それが一番もったいない持ち帰り方です。

釣り上げた魚は生きている間、旨味成分(ATP)が保たれています。しかし正しく処理しないと、ATPが急速に分解されて旨味が消え、血が身に回って生臭くなります。

処理締めなかった場合正しく締めた場合
鮮度ATPが急速に分解されるATPが保たれ旨味が長持ち
血抜き血が身に回り生臭くなる身が白く締まり臭みがない
刺身の質水っぽく生臭いもちもちした食感・旨味が凝縮
保存期間当日〜翌日が限界正しい処理で5〜7日以上

マダイの締め方に必要な道具一覧

青物と全く同じ道具でOKです。マダイは最大でも70cm前後なので、大型魚向けの太いホースより細めのノズルの方が使いやすい場面もあります。

道具用途価格目安
〆ナイフ または ハサミ脳締め・動脈切断1,000〜3,000円
エアダスターノズル帰宅後の本格血抜きで使用1,500円
交換用ノズル魚の大きさに合わせてノズルを変える1,900円
ホース(内径12mm)×2本エアダスターのノズルに接続1,500~2,000円
強度の強い袋クーラー内で魚を氷から守る1,500円
キッチンペーパー水抜き・熟成時の包み材100円〜
真空パック機熟成・長期保存用2,000〜5,000円(任意)
クーラーボックス+氷保冷・持ち帰り別記事参照
(クーラーボックス10選記事)

▲ダイワのナイフでフッ素加工しているものは錆びにくいのでおすすめです。

▲本来エアダスター用ですが水道にホースでつなげると血抜き用としても使えます。

▲魚の大きさによって先端のノズルを変えて使用。尻尾の動脈から血抜きする時に使用します。

▲SK-11エアダスターLサイズに合うホースです。内径12mmのホースを選んでください。

▲ホースとダスターが抜けないようにするためのバンドです。これがないと圧力かかった時に抜けてしまいます。

▲いいお値段しますが、魚のヒレでも袋が破けにくいです。氷焼け防止もできてクーラーボックスの魚の匂いも付きづらいのでおすすめです!

▲魚のヒレにあたっても破れにくく、値段はするが一度使ったら普通のキッチンペーパーには戻れないです!

【船上での処理】時合中は処理しない!移動時間で一気に処理する

船上での処理で最も大事なのは「タイミング」です。マダイが釣れるたびに処理していては時合を逃します。タイラバはのっこみシーズンには連発することもあるので、特にこのタイミング管理が重要です。

船上での下処理ステップ

STEP1
時合中は釣り上げたマダイをバケツへ

時合が続いている間は、釣り上げた魚を海水を張ったバケツに入れておきます。 この段階では処理しません。魚は生きているためATPも保たれています。まず釣ることに集中しましょう。

STEP2
移動時間・流し直しのタイミングで脳締め+動脈切

時合が終わるか、船を流し直すための移動時間になったタイミングで一気に処理します。
①脳天締め:目の後ろ・側線の上の位置(脳の場所)にナイフまたはピックを刺して即殺します。
②動脈切断:エラからナイフを入れ、背骨の下を通る動脈を切断します。

この2つをセットでやることで、ストレスなく旨味を保ったまま素早く処理できます。

重要:脳締めで暴れさせない 魚が暴れると旨味成分のATPが急速に消費されます。脳締めをしっかり行い、即座に動きを止めることが鮮度維持の第一歩です。

STEP3
エラを持って頭を海水につけ、頭を振って血を抜く

脳締め・動脈切断が終わったら、エラの部分を持って魚の頭を海水に浸けます。 そのまま左右に頭を振ると、切断した動脈から血が海水に抜けていきます。 この作業を繰り返し、血のカスが出なくなるまで続けます。

STEP4
血のカスが出なくなったらクーラーボックスへ

血のカスが出なくなったことを確認したら、クーラーボックスに入れます。 【重要】氷に直接触れさせないこと!私は強度の強い袋に魚を入れ、袋の周りに氷を詰める方法で保冷しています。 この状態でなるべく冷やしたまま家に持ち帰ります。

氷焼けに注意 氷が直接魚の身に当たると「氷焼け」で変色し、味が落ちてしまいます。必ず袋に入れるなど直接氷に当てないようにしてください。

神経締め 神経締めはやった方が良いが、なれるまで難しいためできなくてもプロ級の血抜きでリカバリーできます!

【帰宅後の下処理】ここが肝心!プロ級血抜きを実現する

帰宅後に行う血抜きこそ、このメソッドの核心です。内臓はこの段階ではまだ取りません。血抜きが終わるまでそのままにします。

帰宅後血抜きの原理 ホースで圧力をかけた水を動脈に直接注入することで、血管内の血が水圧で押し出される仕組みです。 エアダスターノズル+ホースで究極の血抜きができます。

STEP1
エラからホースを入れ、背骨下の動脈に水を注入

ホースをエラの部分から差し込み、背骨の下を通る動脈(赤いライン)にホースを当てます。 そのまま水道水をホースに通して動脈に注入します。

【確認ポイント】お腹がパンパンに膨らんできたら水が血管内に入っている証拠です。

STEP2
尻尾を切り、エアダスターで水を逆方向から注入

尻尾を切り、背骨の下の動脈の断面を露出させます。 エアダスターのノズルにホースを接続し、尻尾側の動脈断面からホースを当てて水を注入します。
【確認ポイント①】エラの部分から血が出てきます。最初は濃い赤色で、だんだん薄くなっていきます。
【確認ポイント②】尻尾のあたりがパンパンに膨らみます。これが毛細血管まで水が行き渡っているサインです。

水の色が薄くなるまで続ける エラから出てくる水の色がほぼ透明になるまで注入を続けてください。 この工程が丁寧であるほど、熟成後の身の臭みがなくなり刺身の質が格段に上がります。

STEP3
頭を下にして30分、水抜き

全身の毛細血管まで水が入ったら、魚を頭を下にした逆立ち状態にします。 下にキッチンペーパーを敷いて30分置き、注入した水と残った血を抜きます。 この水抜きをしっかりやることが臭みゼロの身質につながります。

STEP4
30分後:内臓とエラを取り出す

30分の水抜きが終わったら、内臓とエラを取り出します。 内臓にはATPを分解する酵素が多く含まれているため、水抜き完了後は速やかに取り除きます。 血合いも丁寧に洗い流してきれいにしておきましょう。

【熟成・保存】釣りたてより美味しくなる5〜7日熟成メソッド

ここからが「釣って、食べるまでがタイラバ」の核心です。正しく熟成させると、釣りたての魚より遥かに旨味が凝縮されます。

STEP1
キッチンペーパーで水気を徹底的に拭き取る

内臓を取り出した後、血合いをきれいにしたらキッチンペーパーで全体の水気をよく拭き取ります。 水分が残っていると腐敗が早まるため、丁寧に拭き取ることが重要です。

STEP2
キッチンペーパーをたっぷり詰める

内臓があった空洞部分にキッチンペーパーをたっぷり詰めます。 頭の方にもキッチンペーパーを詰め、余分な水分を吸収させます。 さらに魚全体をキッチンペーパーでしっかりくるみます。

STEP3
真空パック機で密封する

キッチンペーパーで包んだ状態のまま、真空パック機で密封します。 酸素に触れないことで酸化を防ぎ鮮度が格段に長持ちします。 この工程が熟成の質を大きく左右します。

STEP4
冷蔵庫で5〜7日熟成

冷蔵庫(0〜3℃が理想)で保管します。 5〜7日後には身がもちもちになり旨味が凝縮されます。 7日後でも臭みもなく刺身でも調理でも食べられます!

熟成日数身の状態おすすめの食べ方
当日〜1日弾力があり歯ごたえ強い刺身・焼き魚
2〜3日旨味が出始める刺身・しゃぶしゃぶ・鯛めし
5〜7日もちもちで旨味が凝縮刺身・昆布締め・カルパッチョ ◎
冷凍(真空パック)長期保存・解凍後も刺身可冷水解凍で刺身◯鯛めし◎

▲真空パック機は色々ありますが汁物対応のものがおすすめです。血抜き後の水などが吸引のときに出るときあるので汁物対応が◎

▲真空パックのロールですが結構つかうので予備はあったほうが良いです。大型・中型魚は20cm幅ではなく28cm幅の方が真空しやすいです!

釣ったマダイならではの美味しい食べ方

マダイの松皮造りの画像

マダイは「魚の王様」と呼ばれるだけあって、どんな調理法でも美味しく食べられます。スーパーで売っている養殖マダイとは、身の締まり・旨味・香りが全く異なります。

① 刺身(3〜7日熟成がおすすめ)

熟成3日以降は旨味が増してもちもちの食感になります。皮霜造り(皮を湯引き)にすると皮目の旨味も一緒に味わえます。釣った当日は身が硬すぎるので、最低でも翌日以降がおすすめです。

② 鯛めし(アラをフル活用)

マダイのアラは旨味の宝庫です。頭やカマをさっと焼いてからご飯と一緒に炊くと、出汁が染み渡った絶品鯛めしが完成します。身だけでなくアラまで余すことなく楽しめるのが、自分で釣ったマダイの最大の醍醐味です。

③ 昆布締め(5〜7日熟成後)

5日以上熟成させた刺身を昆布で挟んで半日置くと、旨味がさらに凝縮されます。スーパーでは絶対に作れない贅沢な一品です。塩を少し振ってから昆布で挟むと風味が引き立ちます。

④ アラ汁・潮汁(全部使いきる)

鯛めしで使った後のアラでも十分に出汁が出ます。潮汁は塩と酒だけのシンプルな調理ですが、マダイの上品な旨味がそのまま感じられます。釣り人だけが味わえる贅沢な一杯です。

関連記事:【伊勢湾】タイラバの釣り方を完全解説(タイラバ釣り方記事へのリンク)

持ち帰りのポイント|クーラーボックスの正しい使い方

正しく締めても持ち帰り方を間違えると鮮度が落ちます。以下のポイントを押さえてください。

ポイント正しい方法NGな方法
魚の入れ方強度の高い袋に入れてから氷の中へ氷に直接触れさせる(氷焼け)
氷の量魚の重さの30〜50%の氷氷が少なすぎる
水の管理溶けた水は定期的に排水魚を水に浸けたまま放置
温度管理0〜3℃を維持炎天下に放置

まとめ|船上の処理から熟成まで一気通貫で完結させよう

ここまで解説した手順を整理します。

船上①

時合中は釣り上げた魚をバケツへ(処理は後回しでOK)

船上②

移動・流し直しのタイミングで脳締め+エラから動脈切断

船上③

エラを持って頭を海水に浸け、頭を振って血抜き

船上④

血のカスが出なくなったら強度の強い袋に入れてクーラーへ

帰宅後①

エラからホースで動脈に水を注入(お腹が膨らむまで)

帰宅後②

尻尾を切ってエアダスター+ホースで逆方向から注入

帰宅後③

頭を下にして30分・水抜き

帰宅後④

内臓・エラを取り出して血合いをきれいに

熟成①

水気を拭き取り→キッチンペーパーを詰める→全体をくるむ

熟成②

真空パックで密封→冷蔵庫で5〜7日

保存

冷凍する場合は真空パックのまま→冷水解凍で3ヶ月後も美味しく

「釣って、食べるまでがタイラバ。」ぜひこのメソッドを試して、スーパーでは絶対に買えない極上のマダイを楽しんでください!